植木をはじめとする植物を育てる際に、重要になってくるのが土壌の状態です。施肥や剪定などの管理を適切に行っていたとしても、土の状態が悪いと植物は弱っていってしまいます。水分や養分を吸収する要となる、根の健康を保つために良い土を作ることはとても大切です。
土壌改良の方法には客土(他所から土を搬入し、不足している成分を補うこと)、天地返し(土壌の表層と下層を反転させる)、深耕(地表から20〜30cm程度まで耕すこと)、土壌改良資材の利用などがありますが、今回はその中の土壌改良資材を用いた土壌の改良方法について述べます。以下に土の状態を確認する際のチェックポイントを挙げます。
土壌のチェックポイント
- 土が固くないか
固い場合、粘土質の土である可能性があります。
- 通気性が良いか
根の生育のためには酸素も必要となります。
- 水はけが良いか
余分な水を排出できる土であることが大切です。
- 保水性・保肥性があるか
保水性・保肥性がない場合、水分や肥料分が土に蓄えられず流出してしまいます。
- 酸度(㏗)は適切か
大部分の植物は㏗5~7程度の弱酸性を好みます。酸性またはアルカリ性のどちらかに傾いている場合、生育が悪くなります。種類によっては、ブルーベリーのように酸性土壌を好むもの、ラベンダーのようにアルカリ性を好むものがあります。
土壌改良資材を用いた土壌の改良方法
土壌改良資材とは、土壌の質を変えるために使用する資材のことです。通気性の改善や、微生物数の増加、酸度調整などを測ります。一般的に土に混ぜ込んで使用することが多いです。
大まかに有機物系資材と無機物系資材の二種類に分けられます。
有機物系資材:バーク堆肥・家畜堆肥・腐葉土・もみ殻など
無機物系資材:石灰・バーミキュライト・パーライトなど
大まかなイメージは下記の通りとなります。
・保水性の悪い土壌→腐葉土・バーミキュライト・真珠岩パーライト・もみ殻・バーク堆肥等を投入
・水はけの悪い土壌→黒曜石パーライト等を投入
・pH値が低い土壌→石灰を投入
・養分の少ない土壌→堆肥類を投入
各土壌改良資材の特徴
・もみ殻
もみ殻は、稲の穂から取った殻です。鶏糞、米ぬか、水などを加え発酵させたもみ殻堆肥の原料になります。通気性や水はけを改善したいときにおすすめです。未発酵のものを土に入れると、分解の過程で土の窒素不足になり、植物の成長が阻害されるので注意しましょう。もみ殻は砂質の土壌にも粘土質の土壌にも程よい保水性と排水性をもたらすため多くの場合に利用できます。
・バーク堆肥
樹皮を発酵させたもので、水分保持力が高いので保水性・肥料もちに優れています。また、土壌改良効果が長期間持続されます。柔らかい土壌にする効果が期待できます。肥料分は少ないです。
【家畜堆肥】
肥料分が多く、窒素・リン酸・カリウムの三要素を豊富に含んでいることが特徴です。
・牛糞堆肥
牛糞を発酵させたものです。鶏糞や豚糞よりも肥料分は少ないですが、長く穏やかに効きます。繊維質も多く、土をフカフカにする効果も期待できます。
・豚糞堆肥
豚の糞を発酵させたものです。肥料分は多めですが繊維分はやや少なめです。肥効は牛糞と鶏糞の中間程度です。
・発酵鶏糞
鶏の糞を発酵させたものです。繊維質は少ないですが肥料分が化成肥料と同等くらいに多くなります。そのため、使用量が多いと育成障害を起こすので注意が必要です。
・腐葉土
落ち葉を長時間発酵させたものです。肥料効果はあまりありませんが、通気性と排水性を高めます。
・ピートモス
ピートモスとは、ミズゴケやシダを細かく砕いて乾燥させた土です。水持ちが良くなり、土をふかふかにします。強酸性のため、ブルーベリーのような酸性を好む作物や、土の酸度調整に役立ちます。
・もみ殻燻炭
もみ殻を蒸し焼きにしたもので、土の通気性を良くする効果があります。アルカリ性のため、土の酸度調整に使用可能です。
・パーライト
主に真珠岩や黒曜石などを粉状にしたもので、多孔質で軽く、通気性の高さが特徴です。黒曜石パーライトは排水性を、真珠岩パーライトは保水性を高める働きがあります。
・バーミキュライト
黒雲母が風化した鉱物「蛭石(ひるいし)」を加熱処理し、膨張させたものです。土の保水性や通気性を良くする効果があります。
・苦土石灰
苦土石灰は、土をアルカリ性に傾けたいときに利用します。
・消石灰
消石灰も苦土石灰と同じく、土のアルカリ性を高めるのに利用します。ゼニゴケの生育を抑える効果もあります。
・バーク堆肥
樹皮(バーク)を発酵させたものです。多孔質で水分保持力が高いので保水性・肥料もちに優れています。
土壌改良材の使用方法
土壌改良材は基本的に土に混ぜ込んで使います。植え込みの数週間前に、土の上層と下層を入れ替えるようによく耕します。目安は、一平米あたり2~3kgです。
堆肥の場合はある注意点があります。堆肥が熟していく過程で熱が発生します。未熟な堆肥を土に混ぜると、熱によって逆に作物を傷める恐れがあります。堆肥は完熟したものをを使用するか、混ぜ込まず土の上に乗せます。