トサミズキの花
お庭のスペースの問題から、あまり大きくなり過ぎない中低木を検討されている方も多いと思います。背が低い樹木は比較的コンパクトに育てられますし、剪定の際にも梯子などが不要で、楽にメンテナンスをすることができます。また、中低木は一般的に高木に比べて成長が遅いため、お手入れの回数自体も少なくて済みます。
さらに高木と組み合わせた場合は、庭に奥行きを与える効果などがあるため、よりデザイン性の高いお庭に仕上がることが期待できます。手前に高木を、奥に中低木を配置すると奥行を感じられ、お庭を広く見せます。目隠しや生垣としても利用できますので、ブロック塀やフェンスの代替にもなります。
中低木とは?(高木・中木・低木の分類)
高木・中木・低木の分類は分類方法や地域などによって差があり、絶対的な定義はありませんが、一般的に以下のように定義されます。
高木(喬木:tree):成木の高さが5m以上で、植え付け時高さ3m以上(竹は含まない)。一般に太い幹から側枝が伸びており、主幹がはっきりわかる木本植物(地上に出ている茎が成長し続け、長い間寿命を保つ植物)。
中木(shrub):高さ1.5m以上で3m未満。
低木(灌木:bush):高木、中木以外の樹木で、植え付け時高さ0.3以上、枝張りは0.6以上。最終的な樹高が3m以下。一般に根元から幹と区別がつかない枝を複数本出しており、主幹がはっきりしない木本植物。
おすすめの代表的な低木
アオキ
斑入りなど多数の園芸品種が流通しています。冬には赤い果実がつき、葉も光沢があり、観賞価値が高いです。雌雄異株ですので、雌株にのみ実がつきます。実を楽しみたい場合は、雄株と雌株両方が必要です。耐陰性に優れており日陰に強いので、半日陰や日陰、または軒下等が適しており、北向きの庭や裏庭などにおすすすめの低木です。
アジサイ
日本において古くから馴染みのある花木です。丈夫で初心者でも育てやすく、洋風の庭にも和風の庭にもマッチし、鉢植えでも庭植えでも容易に栽培できます。
アベリア
常緑性で、コンパクトに好みの大きさに剪定することができます。花も美しく、斑入り品種など、葉の観賞価値の高いものもあります。
シモツケ
シモツケは風情のある花を初夏に咲かせる落葉低木です。観賞期間がとても長く、暑さや寒さにも強く丈夫な、初心者におすすめの花木です。多様な花色や葉色の園芸品種が多数あり、花のない時期も、春から秋まで葉色の変化を楽しむことができます。花色はピンク、白などがあります。よく枝分かれし、こんもり育ちます。やや大きくなるので地植えにされた方が良いでしょう。
ツツジ
栽培品種は日本に自生する野生種をもとに改良されているので、育てやすいです。鉢植えでも庭植えでも楽しむことができます。株のコンパクトさ、丈夫な性質、花の美しさと優れたところが多いです。たくさんの品種が存在し、花色や葉の大きさと形は色々あります。
ドウダンツツジ
春に咲く白い釣鐘型のかわいらしい花と、秋の紅葉も美しい落葉性の花木です。葉が出る前に開花します。刈り込みに強く、小枝が密に出るので、生け垣としても最適です。
トサミズキ
ミズキ科ではなく、マンサク科の植物です。この名前は葉の形がミズキ科の樹木と似ることに由来します。葉は先が尖った円形〜ハート形で、葉脈に沿った凹凸が目立ち、縁がギザギザしています。葉が出る前の3月下旬~4月に、5~7個の丸みのある薄い黄色の小花が花序になって垂れ下がります。トサミズキは四国地方を原産としていますが、特に高知県の山地の石灰岩地域に多く生育しているため、この名前があります。枝はややジグザグと曲がった形状になります。野趣溢れる姿になります。
ヒイラギナンテン
ヒイラギナンテンは、常緑の葉、早春に長い花穂に多数つく黄色い花、初夏に熟す黒青色の果実と、1年を通じて観賞できます。名は葉がナンテンのように複葉で、ヒイラギのように棘のあることや、果実のつき方がナンテンに似ることにちなみます。生け垣にも利用することができます。また、剪定によってコンパクトにまとまります。
ブルーベリー
食用となる実が大きな魅力ですが、春から初夏に咲く白あるいはピンクの鐘型のかわいい花と、秋の美しい紅葉も見どころです。ブルーベリーはハイブッシュ系とラビットアイ系に大別されます。ラビットアイ系のブルーベリーは、自家受粉しにくい傾向にあります。果実を収穫するためには、同じラビットアイ系で別の品種を一緒に育てる必要があります。ハイブッシュ系のブルーベリーは1本でも受粉し、結実する品種もありますが、同じハイブッシュ系で異なる品種を一緒に育てた方が、実つきがよくなります。また、pH5.0前後の酸性の土でよく育ちます。そのためピートモスなどを土に混ぜて、酸度調整して育てる必要があります。
あまりスペースにゆとりの無いお庭でも、工夫次第で素敵な景観をつくることができます。背の低い木にも色々な種類があり、お庭の主役から脇役までこなせますので、ぜひお庭造りの際に検討されてみてください。