シンボルツリーとは、住宅・建築物や家族を象徴する、背の高い樹木のことを指します。新築や改築祝い、結婚、新しい家族の誕生など、お祝いごとの記念樹として植えられる場合もあります。また、建築物の景観に彩りを添えてくれます。ご自分の庭の環境を見ながら、樹高を基準に選ぶのがポイントです。庭木の中でも特に存在感が重視されることから、一般的には丈夫で育てやすく外からも見える高木が選ばれます。ただ、最近では日常の手入れがしやすい低木も注目されています。
シンボルツリーの役割・効果
■プライバシー保全、防犯効果
お庭に樹木があることで、住宅内部や敷地内を外から見えにくくする効果があります。
それにより、プライバシー保全や、防犯対策にも役立ちます。塀やフェンスで目隠しするよりも自然な柔らかい印象にすることができます。
■日差し・風よけ
樹木の枝葉で天然のカーテンを作ることで、防風効果のほか、日差しの量を軽減することができます。
ただし、風の強い暴風時には倒木の危険性もあるため、季節ごとに適切な剪定を行うことが大切です。
■火災の延焼緩和
耐火性のある樹木は、火災の延焼防止に役立つといわれています。
万が一、住宅の周辺で火災が発生した場合でも、住宅まで火が燃え広がるのを防ぐことを期待できます。
■樹木の光合成による空気の汚染防止
樹木は光合成に伴って、空気を浄化する働きを持っています。二酸化炭素を吸収し酸素を放出します。お庭や住宅の敷地内にシンボルツリーを植えることで、周囲の空気をきれいにする効果も期待できます。
■歳月の流れを感じられる
お子様の誕生時に植えた場合、木の成長を子どもの成長と共に楽しめます。
選び方
シンボルツリーを選ぶうえで最も重要なのは、ご自分の好みにあった木を探すことはもちろん、ご自宅のお庭の環境条件を事前に把握・確認することです。以下に気を付けるべき点を挙げてみます。
・日当たり・日照時間
日当たりが良い場合は、ほとんどの樹木は育ちやすいのですが、日があまり当たらない場合は、耐陰性のある木を選ぶ必要があります。
・風通し
風通しが極端に悪い場合、病原菌や害虫が蔓延してしまいます。
・水はけ
水はけが悪いと多湿により根腐れを起こしてしまいます。
・土壌の質
植物によって酸性やアルカリ性など好む土質は異なるため、庭木に合った酸性度にしましょう。土壌の酸性度は、
通販やホームセンターなどで購入できる測定器で計測することができます。
それぞれの方角において気を付ける点
■東側
午前中の柔らかい日差しがあたる東側ですが、建物の向きによっては午後の日差しはほとんど当たらない場合もあります。時間帯や立地条件により日差しに変化のある東側は、強い日差しを好まない木がよいでしょう。また、寒い冬には葉を落とし、家に朝日を通してくれる落葉樹を中心に選んでいくことをおすすめします。
【おすすめの樹木】
エゴノキ:釣り下がるように白い小さな花が咲く。
夏椿、ヒメシャラ:椿のような白い花が咲き自然樹形が美しい。剪定の手はあまり入れない方が良い。
カエデ・モミジ類:紅葉が魅力。意外と洋風ガーデンにもよく合う。
アカシデ:一年を通じて木全体に赤味があり、特に新緑と秋の紅葉は美しい。
クロモジ:爪楊枝の原料になる香りのよい木。黄色い花が咲く。
カツラ:ハート型の葉が秋には黄色く紅葉する。高木になる。
ハナミズキ、ヤマボウシ:花や秋の紅葉、実も楽しめる。
ジューンベリー:丸い葉と白い花、食用になる赤い実が楽しめる。
※東側に向く庭木は西日が苦手なので、当たらなければ南側でもOK。
■南側
南側は1日中強い日が当たる方角です。花や実をつける木が向いています。建物の向きによっては、西日に注意しましょう。リビングなど家族が集まる部屋が位置するところでもありますので、花や実、紅葉などを楽しませてくれる樹木、あるいは、光の必要な果樹などがおすすめです。
【おすすめの樹木】
桜・さくらんぼ:大きく成長するので、家から距離をおいた場所に植える方がいい。
サルスベリ:夏に鮮やかな色の花を長期間咲かせる落葉樹。
柑橘類:みかん、レモン、ゆずなど。東では日照不足となる。
金木犀:秋にオレンジ色の芳香のある花が咲く常緑樹。
コブシ、モクレン:春に大きな花を咲かせる落葉樹。
ソヨゴ:秋に赤い実をつける常緑広葉樹。成長が緩やか。
■西側
西側はとくに日差しが強く、適した木は、「西日に強い」ということが条件になります。南側に向く木でも、西側に植えることが出来ますが、葉焼けにも耐えることができる、葉が厚くて硬い常緑広葉樹が向いています。オリーブ、シマトネリコ、ヤマモモ、サザンカなどです。
【おすすめの樹木】
オリーブ:洋風の家によく似合う。虫がつきにくい。
サザンカ:秋から冬にかけて美しい花を咲かせる。
シマトネリコ:初夏に白い花を咲かす近年人気の半常緑広葉樹。
ヤマモモ:どんな場所にも丈夫に育つ。初夏に食用になる赤い実をつける。
クヌギ、コナラ:樹液はカブトムシやクワガタの大好物。
アラカシ:いわゆる「ドングリの木」の代表的な樹種。
シラカシ:ドングリのなる木の一つ。カシ類(ブナ科コナラ属 常緑高木の総称)の中では細葉で繊細な姿。
■北側
北側はシンボルツリーに限らず、植物にはあまり適した場所ではありませんが、耐陰性があり生育可能な樹木をご紹介します。
【おすすめの樹木】
ヒイラギナンテン:常緑で、早春に長い花穂に黄色い花が多数つき、初夏には黒青色の果実が熟し、1年を通じて観賞できる。剪定によってコンパクトにまとまる。
ソヨゴ:日向から日陰まで生育が可能な植木。赤い実がなる。
アオキ:古くから日陰の庭に植えられている。斑入りの品種もある。
【多少日差しが入る北側でのおすすめの樹木】
アセビ:春に赤や白の花が穂になって咲く。日本特産の常緑低木。
サンゴジュ:赤い実のなる常緑樹。耐火性が強く防火樹としても用いられる。
ヒメシャラ:暗すぎる日陰では葉が極端に少なくなり、病虫害も付きやすい。
ハイノキ:春に白い小花を咲かせる。日向では葉焼けし徐々に枯れてしまう。
今回ご紹介した木はほんの一部ですが、この記事がシンボルツリーを選ばれる際のご参考になれば幸いです。ご紹介したもの以外にも、グランクスでは様々な植木を取り扱っております。
お庭のご相談も承っておりますのでお気軽にご来店ください。
写真は当店のイロハモミジです。紅葉が大きな魅力ですが、春から夏にかけての緑葉も美しいです。
そろそろ剪定が必要ですね!(^^)!